物語られない私の物語
ペンを握ったまま、動きが止まる。
やっぱり、集中できない。
気が付くとまた、机に頭を乗せていた。
私ってこんなに、瑞希のことが好きだったんだ・・・
誰かの物になって、初めて気付いたよ。
馬鹿だなあ、
瑞希はずっと近くにいてくれるって
そう思い込んでた・・・
目頭が、じんわり、熱い。
涙が、頬を伝っていく。
泣くほど好きだったなんて、なぁ・・・
ガラッ
ドアが開く音が耳に入り、現実に引き戻される。
また誰か、来た。