物語られない私の物語





ペンを握ったまま、動きが止まる。


やっぱり、集中できない。


気が付くとまた、机に頭を乗せていた。



私ってこんなに、瑞希のことが好きだったんだ・・・

誰かの物になって、初めて気付いたよ。

馬鹿だなあ、


瑞希はずっと近くにいてくれるって


そう思い込んでた・・・



目頭が、じんわり、熱い。

涙が、頬を伝っていく。


泣くほど好きだったなんて、なぁ・・・





ガラッ



ドアが開く音が耳に入り、現実に引き戻される。




また誰か、来た。




< 13 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop