物語られない私の物語
まあ、いいや・・・
吉澤くんに、泣いてたのがバレるくらい、どうってことない
と、思ってしまうくらい、今の私は、自暴自棄だ。
「好きな人に、好きになってもらうのって、難しいんだね」
自分で言っていて、泣きそうになる。
彼は、立ち去ろうとしていた体の向きを変え、自分の席の椅子を引いた。
「吉澤くん、部活は?」
「大丈夫、委員会の仕事もあったから、遅れるって言ってあるし」
「そっ、か・・・」
不思議だ。
吉澤くんといても、ドキドキしない。
変に意識しないぶん、なんだか他の人より話しやすい。
こんなふうに面と向かって話すのなんて、初めてなのに。