物語られない私の物語
びっくり・・・・
どころの話じゃない。
心臓が止まるかと思った。
ただ唖然としてフリーズする私の腕を掴んで立ち上がらせると、吉澤くんは微笑んだ。
「勇気出たでしょ?行ってらっしゃい」
ふらつく足で教室を出る私に、後ろから、「桜井くんなら、二組の教室にいるよ」と伝えて、背中を押した。
その勢いで、ふらついたまま、二歩、三歩、四歩と足を踏み出し、もう一回、ちらりと後ろを振り向いたら・・・
走れ
両手をメガホンのようにして、声を張り上げる吉澤くんがいた。