物語られない私の物語
ありがとう
ありがとう
ありがとう
心の中で繰り返して、私の足は走り出した。
こんなに、駆け出したくて堪らないことが、今まであっただろうか。
こんなに、伝えたくて仕方ないことが、あっただろうか。
きっとない。
私は、夢みがちで、現実とまともに向き合わない、馬鹿で愚かな人間だった。
吉澤くんのおかげで目が覚めた。
ありがとう
ありがとう
ありがとう
その気持ちで、走るスピードは加速していく。