物語られない私の物語
時計の秒針が時を刻む音と、自分の心臓の音がやけにうるさく聞こえるほど、静かな教室。
瑞季、
早くなにか言ってよ・・・・!
「・・・・・あのさ、」
ようやく、瑞季の声がした。
その一言では、感情があまり伝わらない、いつも通りの穏やかな声。
私が大好きな、声。
「こんなこと、言うの、変かな?」
「なに?」
ぱっ、と膝にあった視線を上げる。
そこにいた瑞季の顔は、見たことないくらい真っ赤で・・・
「ありが、とう・・・」
と、恥ずかしそうに呟く。