物語られない私の物語




時計の秒針が時を刻む音と、自分の心臓の音がやけにうるさく聞こえるほど、静かな教室。



瑞季、



早くなにか言ってよ・・・・!




「・・・・・あのさ、」




ようやく、瑞季の声がした。

その一言では、感情があまり伝わらない、いつも通りの穏やかな声。

私が大好きな、声。



「こんなこと、言うの、変かな?」


「なに?」



ぱっ、と膝にあった視線を上げる。


そこにいた瑞季の顔は、見たことないくらい真っ赤で・・・



「ありが、とう・・・」



と、恥ずかしそうに呟く。








< 26 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop