Sunshine Door
「待った?」

「少しだけ」


ユウトはカウンターに座っている私の隣の席に腰を下ろすといつものオランダビールを注文した。


「またそれ?」

「だってビールしか飲めないし」



「成長しないよね」

「お前に言われたくないよ。それで今日で何人目?」

「うーん、6人目?」

「フラれるたびに俺のこと呼び出すのもうやめてくれない?」

「良いじゃん どうせ暇でしょ?」

「まぁ暇なのは否定しないけど、俺のこと便利屋か何かと勘違いしてない?」


二人でいつものように笑い、いつものような会話を続ける。


そんないつものユウトの笑顔を見つめることで私は一時(ひととき)の幸せを噛み締めながらも罪悪感で胸が痛くなる。



私は誰かにフラれてなどいない。

嘘をつくことでユウトに会う口実を作っている。
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