青い嘘とブルーなKISS
セナと過ごした時間はリアル(現実)と言う事だけはちゃんと覚えているのに何度思い出そうとしても心地よかった匂いも、体温も唇の感触すらも手の隙間から零れ落ちる砂のように何一つ思い出せずにいた。



思い出すことが困難な夢のように。


そんな過去の記憶を辿りながら昨日ホテルに着いた時に携帯をサイレントモードにしていたことを思い出した。



普段誰からも連絡が来ることが無い私は携帯を眺める習慣も無く、鞄の中から携帯を取り出すと1件の不在着信を通知していた。


不確かな希望だったがきっとセナからだろうと恐る恐る番号を見ると、それはやはり昨日チャットで交換したセナの番号だった。



「またね」という言葉は受け取っていたが「サヨナラ」と言われたわけじゃないと自分に言い聞かせ、少しだけの勇気を振り絞り着信のあった番号へとかけ直す。



電話を鳴らすと聞きなれたその声のトーンでセナはすぐに出た。
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