青い嘘とブルーなKISS
傘を必要としない二人の距離はなんだか前よりも遠くなった気がして、もうこのまま逢えないような不安が勝り、私はささやきに似た小さな声で重い口を開いた。



「じゃあ、また会えたら」

「また会おうよ」



「私のことキライ?」

「キライじゃない」



「好き?」

「好きだよ」



「初めて会ったのに?」

「関係無い」



「私ばかり質問してるよね?」

「じゃあ1つ質問していい?」

「良いよ」




「ミウって本名?」

「うん。美しい羽って書いて美羽(ミウ)。

でも私はこの名前が大嫌い。

自分が美しくも無いし羽もないのに何でこんな名前なのかわからない。

私はこの名前のせいでイジメにもあったし、嘘をつくことも覚えた。」





「昨夜の僕らの関係も嘘なの?」

「嘘かどうかを言ったら嘘じゃなくなってしまうじゃない?」


少しだけ意地悪で言ったつもりの簡単な嘘のはずが、セナを悲しませてしまったのだと私はすぐに気づいた。



それから二人は昨日にタイムスリップしたかのように会話がないまま駅へと歩き、お互いの生活に戻るために別々のホームへと向かうことにした。
< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop