罪線〜an imitation〜
「柴田。キミ、好きな女でも出来たんじゃないのかい?」


馬鹿な……何を根拠にそんな事を言うのか……。


「いる訳ねぇだろ?大体女なんて興味ねぇよ」


カマを掛けてるんだと思ってタカを括る俺だったが、平岡はその上を行っていた。


「じゃあ、チヒロって女も興味ないよね?高嶋チヒロって言ったかな?」


「……あぁ、誰だそいつ?聞いた事もないな……」


俺ですら初めて聞いたチヒロの苗字。思わず動揺を顔に出す俺に、平岡は畳み掛ける。


「ふふ……そうか。よかったぁ、捕まえといて正解だったよ。柴田クンに近付こうとしてたからさ。キミが興味ないなら、別にいいよね?」


「……?!」


俺は心臓が烈しく脈打つのを感じた。


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