罪線〜an imitation〜
「ハァ……ハァ……」


外へと向かって駆け出した俺だが、扉までの距離が妙に遠い。

その距離感がやけにムカつく。


チヒロ、無事でいてくれ……心から強く願い、ドアを開けた。


……すると……


そこには、血に塗れて倒れている、一人の女がいた。


「遅かったか……」


ほんの一瞬だけ、諦めの気持ちが頭の中をグルグル回った。

だが違っていた。よく見ると、その女はチヒロじゃなかったんだ。


「……誰だ?」


そう思って、俯せに寝転がる女の顔を上げてみる。


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