罪線〜an imitation〜
見覚えのある風貌、整った顔立ち。

その女は、俺の身近な人間だった。

宮内麗奈。

俺や平岡の仲間だ。


「可哀相にね。宮内さぁ、男遊び酷いだろ?いつ、どこで、誰に僕たちの事喋っちゃうか解らないからね。殺しちゃった」


いい見せ締めだ。

俺が平岡の意思に適わない人間であれば、こうなる事も有り得る。

しかも俺の場合は違う。直接的にじゃない、間接的に……大事なモノから奪って行くってな。

そんな不安に駆られていると、平岡は誰かと電話をし始めた。


「やぁ、あの女、ずっと捕えておいてくれたかい?……そう、絶対逃がしちゃダメだよ?大事な人質だからね」


俺は呪った。

平岡に付いた自分を……。

チヒロを巻き込んでしまった俺自身を……。


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