罪線〜an imitation〜
第五章

Mind

――今語られた、柴田の過去。

それを聞いて何故だか妙に、現在の自分と重ねてしまう。

この気持ちが何なのか、それさえ解せずに。


「ケンジ……って言ったな?」


いろいろな想いが巡る中、軽い錯乱状態となっている俺を、柴田の声が呼び起こす。


「あぁ……何だ?」


「お前の女も捕まってるんだろ?」


俺の女……俺の女……。

忘れた振りをして、自分の頭の中を探ってみるが、俺の女と呼べる人間は、たった一人しか出てこない。

……ミカ。


「助けたいと思わねぇか?」


「……助けたい?」


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