罪線〜an imitation〜

眩暈

「……〜ん……え〜ん……」


柴田との話も一段落ついた頃、玄関の方から何やら子供の泣き声の様なものが聞こえた。

何事かと思い、玄関に近付くと……


「……ぐすっ……ぐすん……」


やはり子供だ。しかも、まだ十にも満たない程の幼い子供。

平岡は、こんな小さな子供まで人質に取るのか……。


「キミ、名前は?」


俺が話しかけると、恐る恐る顔を上げた。


「……僕、シュウジ。お兄ちゃん、僕の事……殺すの?」


恐怖に顔を歪めるシュウジ。俺も同じく感じている感情を、少しでも和らげてあげたい。


「シュウジか……俺の友達と同じ名前だな」


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