罪線〜an imitation〜
それから小一時間くらい経過した頃だろうか。
平岡、柴田が戻らない中、シュウジと二人で過ごしていると……
「お母さん……お母さん。あの時貰った小さな手袋、今でも大事に持っているよ……」
シュウジだ。
シュウジが、聞こえるか聞こえないか、ギリギリの声量で歌っている。
お世辞にも上手いとは言い難いが、とても優しいメロディーだ。
「優しい歌だね」
俺が声を掛けると、シュウジは切なさを含んだ笑みを見せる。
「うん……お母さん、死んじゃったけどね……」
「……」
それに対して言葉が出ないのは、俺の中で今まで無かった感情が芽生えた証なのだろうか。
平岡、柴田が戻らない中、シュウジと二人で過ごしていると……
「お母さん……お母さん。あの時貰った小さな手袋、今でも大事に持っているよ……」
シュウジだ。
シュウジが、聞こえるか聞こえないか、ギリギリの声量で歌っている。
お世辞にも上手いとは言い難いが、とても優しいメロディーだ。
「優しい歌だね」
俺が声を掛けると、シュウジは切なさを含んだ笑みを見せる。
「うん……お母さん、死んじゃったけどね……」
「……」
それに対して言葉が出ないのは、俺の中で今まで無かった感情が芽生えた証なのだろうか。