罪線〜an imitation〜
……良かった。

どうやら誰もいない様だ。

俺はホッとして、目的を見失いかけてしまったが、本当の目的を思い出して、玄関に目を向けた。

すると、そこに見えたのは、A4サイズ程の茶封筒。

普通の家庭で言えば、何の事はない物だが、場所が場所だけに、不自然極まりない。

それに加えて、封筒に書かれた不可解な文章。


「……悲しい運命は、自分の間違った選択によって、辿ってしまうもの。そうでない運命を辿りたいなら、流れに逆らわない事……」


何の事かは解らないが、封筒を持つ俺の手には、あまり良い感触が伝わって来ない。


俺は一心不乱に封を切り、中身を取り出した。


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