罪線〜an imitation〜
「橋浦ミカという女の子。もちろんキミも知っているね?」


それは、俺が彼女を知っている事が大前提の言葉。

解っているなら聞かないで欲しい。


「あぁ、知っている」


「裏切り者……柴田が全部話しただろうから知っていると思うけど、キミが手を上げた二階の女の子。あれはキミの彼女だ」


それも知っている。が今更それが何だというのだ。

この期に及んで勿体振る平岡の喋りに、嫌気がさす。


「彼女ね、キミの事、心底案じていたよ。優しい子なんだね」


「あぁ」


それはここに来てから気付いた事だが、もう少し早く気付いてあげられたらと、心から思う。


「ここで一つ提案。キミ、彼女を助けてあげたいと思う?」


突如あげられた提案に少々とまどったが、裏があるとしりつつも、俺は首を縦に振った。

平岡は、その裏に、何を隠しもっているのだろう。


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