罪線〜an imitation〜
平岡の後に着き、地下室へ下りると、確かにゲーム機があった。


「懐かしいな……」


自然と俺の口から零れ出るのも無理はない。そのゲームは三年前、時代を一世風靡した物で、俺達が夢中になった機種だった。


「ケンジ君。僕はね、ずっとこの時を待っていたんだよ」


積年の思いを募らせたであろうゲーム機を見詰め、平岡は、悲しみにも似た喜びの表情を見せた。

が、俺にとって平岡の思いなど、汲み取るに値しない。


「早くやってしまおう」


そう、無表情かつ無感情に言い放つ俺に対して、平岡は感慨深気に答えた。


「あぁ、そうだね。僕が勝って、君を殺す」


俺の人生を賭けた勝負が、今始まる。


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