罪線〜an imitation〜
「ケンジ君。気に病む事は何もない。キミは僕と勝負して、以前の様に勝てばいい。出来るだろ?」


よくその様な言葉をずらずらと並べられたものだ。

最初から動揺を誘う事が目的のクセに。


「あぁ、遠慮なくやらせてもらうよ。俺は決めたんだ。アンタを倒して、生きて帰る」


と、平静を装って再びゲーム機に向かうが、相手の体力ゲージが、残り三分の一から動こうとしない。

やはり、こんな状況下で平静を装うのは無理ってモンだ。

ここ最近で心の中に目覚めた温かい感情が、自らの道を歩こうとする俺を邪魔する。

……そうこうしてる間に、こちら側の体力ゲージが、みるみるうちに減っていく。

そして……


「どうしたのかな?ケンジ君」


第二ラウンド、惨敗。勝負は第三ラウンドに持ち越される事となった。


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