罪線〜an imitation〜
……そして運命の第三ラウンド。


「本気で来なよ。まだまだ本気じゃないんだろ?」


平岡の挑発に乗ってやりたいところだが、俺が勝ったら目の前でミカが死ぬ。

俺が持っているスイッチ。それを押す勇気はない。

本来ならば、ゆっくりと考えたいものだが、平岡が待ってくれる様子は無く、ゲージがどんどん減って行く。


「クソ!どうすれば……」


完全に混乱していた俺は、ゆっくりとミカの方へと視線をやった。

……すると……


「……なんで、そんな顔するんだよ……」


鬼の様な形相で、生への執着を見せてくれれば、俺は迷いもなく勝つ事が出来ただろう。

しかし彼女は、憔悴しつつも、優しい笑顔で俺を見つめていた。

やはり彼女は、真実の愛を持って俺に接していたのだろう。


それを再確認した俺は……


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