罪線〜an imitation〜
「平岡、アンタの勝ちだ。さぁ、とっとと終わらせてくれよ。勝算はいくらでもあるが、勝つ気はない」


自らの命を、進んで捨てたいと思う奴など、この世には存在しないだろう。

俺も例外ではなく、死んでも良いという気持ちなど、万に一つも持ち合わせてはいない。

が、それ以上にミカを見殺しに出来ないという気持ちが勝ったのだ。


「早く決めてくれよ。アンタの勝ちだ。動かない俺なら、簡単に倒す事が出来るだろう?」


俺の決意は強かった。これは、今までミカの気持ちに気付いてやれなかった、俺自身への罰。

この決意が揺らぐ事は、もうない。

「ミカ、今まで悪かったな。生きて帰れ。そして、いつもと変わりない、くだらない日常に戻るんだ」

< 140 / 161 >

この作品をシェア

pagetop