罪線〜an imitation〜
俺の言葉を聞いて、ミカの顔から覗けていた、優しい表情は消えた。

彼女はただ、首を横に振り、自分は"それ"を望んではいないと訴えるばかり。

それでも、もう俺の意思を変える事は出来ない。勝負も、すぐに決着する。

……そう思っていたが、ゲーム機に目を遣ると、平岡のキャラクターも動いていない。


「何をしてる?早く済ませてくれよ」


すると、今まで穏やかな視線をゲーム機に向けていた平岡が、おぞましい表情で俺を睨む。


「違う……違うよケンジ君。僕が望んでいたのは、こんな事じゃない」


言っている事が、明らかに矛盾している。


「じゃあ、何が望みだと言うんだ?人質まで用意して、俺を負かす事が目的じゃない?言っている事がおかしいじゃないか」


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