罪線〜an imitation〜
「平岡さん。頼みがある」


「ほう……キミが頼み事なんて珍しいね。どんな頼みだい?」


そう勘繰る平岡に対して、俺は応えた。


「俺と勝負をして欲しい。正真正銘、最後の勝負だ」


「キミが正真正銘、最後の勝負と決め付けるのは些か可笑しいとは思うが……まぁ、いいだろう」


未だ、俺に対する勘繰りの眼差しは止まないが、どうやら勝負は受けてくれるらしい。


「でもケンジ君、わざと負けて、僕を満足させてしまおうなんて魂胆は抱かない様にね」


下手に手を抜いては、何が起きるか解った物ではない。勿論その点も視野に入れた勝算が、俺にはある。


「あぁ、そんな事をするつもりは無い」


すると平岡も、ある程度納得がいった模様。

そして二人は、互いの終局を迎えるべく、ゲーム機越しに再び向かい合う。


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