罪線〜an imitation〜
平岡は、ゲーム前にこう言った。


「わざと負けようとしていないか?」


俺はバカじゃない。そんな事をしてもバレるのは百も承知。

だから、全力で戦って、負ける事を選んだのだ。


「ハァ……ハァ……」


あるハンディを被っているとは言え、本気でやり合って勝てないのはやはり悔しい。

……しかし、本当の狙いはそれだ。"悔しい気持ち"に、この悪夢に終止符を打つ鍵が隠されている。

手を抜いて負ける事では得る事の出来ない気持ち。

それで、俺はある意味での勝利を得る。

負けるが勝ち……なのだ。



< 151 / 161 >

この作品をシェア

pagetop