罪線〜an imitation〜

罪の線

自分が座っていた台から離れ、俺は平岡の方に回りこんだ。

するとそこには、今までに見た事もない表情をしている平岡が居た。


「はぁ……はぁ……」


平岡の表情は、喜怒哀楽を示すそれではなくなっていた。

無表情というモノとも違う。敢えて言うなれば、哀しみの表情に近いが、どことなく無気力だ。


「アンタの勝ちだ。本気でやって負けたのは何年振りかな……」


「ケンジ君……本当に本気だったんだね?」


「あぁ、本気だった。伝わったろ?いくらうまくやっても、わざとだったら間違いなく気付くはずだ」


「……」



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