罪線〜an imitation〜
昼休み。

教室の隅、窓際の席で何となく携帯の辞書を覗く。

罪とは何を指すのか。

欲望は抑えなければならないのか。

正義は何を基準に、何を定義として正義と呼ぶのか。

辞書は正しい解答ばかりが載るのか。

そんな事に思いを巡らせていると、クラスメイトの一人が俺に話し掛ける。


「ケンジ。橋浦、もう三日も学校来てねぇじゃん。なんかあったのか?」


「どうかな。家出でもしたんじゃないか?親と仲悪いみたいだし」


「彼女の事だってのに、ホント無関心だな。橋浦が可哀相だ」


無関心は罪なのだろうか。


少なくとも、携帯の辞書には載っていなかった。


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