罪線〜an imitation〜
「しゃべってもらうよ……お兄ちゃん。ね?柴田さん」


「あぁ、この間掠った女は結局何も吐かなかった。どういう訳かは知らねぇが、余程その男の事が大事だったんだろうな」


ミカが行方不明になった理由。それが今突然明らかになった。


「可哀相にな……早く吐いてさえいれば、あんな事にはならなかったのによ」

後から聞こえる溜め息混じりの低い声が、俺を混乱と恐怖に落とし入れる。


「お前……名前は?」


「シ、シュウジ……」


「そうか。シュウジ、お前も女と同じ様になりたいか?」


そう質問を投げかける男に対し俺は、首に当たっている刃物に気を配りながら、首を横に振る。


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