罪線〜an imitation〜
第三章

GAME

誘われるまま席に座ると、俺はおもむろにスティックやボタンを触り始めた。


掌で転がしたり、人差し指と中指で挟んでみたり……。

周りの人間には適当な行動や仕草、もしくはただのカッコつけに見えるだろう。


違う。


ハッキリ言って俺は、勝ちに対する執念なんて微塵もない。


どう転んでも勝つから。


ただ俺がこだわるのは、どの様に闘い、どの様な勝ち方をするか。

ゲーム前に立てたプランを、完璧に遂行する事。

それを邪魔されない為には、使用回数にも左右されるスティックやボタンの柔らかさを確かめなくてはならない。

寸分足りとも、俺のゲームを邪魔される訳にはいかない。


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