罪線〜an imitation〜
俺は心底驚いていた。人見知りが激しく、誰にも心を許した事のない俺が、初めて出会った、得体の知れないこの男に自分の事を話している。

何故だ……。

その理由はこの後、すぐ解る事となる。


「……正義……平和……」


「……?」


「不思議に思った事、ないかな?」


何を言いたいのだろうか。まず、正義だの平和だのより、不思議に思う点はそこだが、少なくとも完全に無関心という訳ではない。


「正義、平和。その定義か?」


「そういう事。どうやらキミと僕は似ている様だね。ケンジ君……山中ケンジ君」


「?!」


この男は、何故か俺の名を知っていた。


名前だけ……か?


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