罪線〜an imitation〜
「今、目の前にあるコレの心臓を、ナイフで一突きするか……それとも別のモノを拳で殴るか……どっちがいい?」


「別のモノ……他にもいるのか?」


一体何を考えているんだろう。俺が何を躊躇しているか解ってないのか?

躊躇する点はたった一つ。

人の命をこの手で消す……その事に対してだ。

だからして、俺は迷いもなく返事をする。


「……後者だな」


「そう。じゃあ、着いておいで」


そう言うと平岡は、俺を二階へと案内し始めた。


「ケンジ君。キミの選択は、本当に正しいのかな?」


「フン……」


俺の取った選択肢に、間違いなど一つもない。


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