罪線〜an imitation〜
二階へと上がり、いくつかあるドアの内の一つに手を掛けると、平岡はゆっくりとそれを開いた。


「さぁどうぞ」


案内されるままに中へ入ると、そこに居たのは……


「……女?」


顔だけは白い布で覆い隠されているものの、身体はそうではない。


ジーンズにTシャツ姿の……女だ。


「ケンジ君、コレを力一杯殴れるかい?」


少々嫌な気持ちはあるものの、命をこの手にかけるよりはマシというものだ。


「あぁ、やれるさ……それで許してくれるんだろう?」


「あぁ、許してあげるとも」


それなら簡単な事だ。

が、またしても平岡の口元に笑みが浮かぶ。


「ただ、一つだけいいかい?」


「……?」


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