罪線〜an imitation〜
平岡の考えは、完全に否定出来るモノではなかった。

ここに罪やルールがない以上、本当に求められているのはモラルのみ。

外の世界では法律が邪魔をして、誰かが死を望んでいても、他の誰かが死を与えてやる事は出来ない。

そう言えば、下にいた奴は抵抗するどころか、うめき声一つ上げていなかった。

ソレと平岡から聞く言葉を照らし合わせて見れば、下の人間は死を望んでいる様にしか見えない。


が、それはきっと平岡の罠だ。


要は向こうが望んでいるか否かではない。

俺がその行為を出来るかどうかだ。


「平岡さん。俺の中に迷う点は見つからない。遠慮なく殴らせて貰うよ」


「そうか……ならどうぞ」


俺は力一杯にその女を……――


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