罪線〜an imitation〜
平岡の発言。その意味を考えながら、ゆっくりと下る。


「……後悔」


するはずがない。

あのまま平岡の言う通りにしていたら……そう思うと、ゾッとする。

俺は正しい選択をした。

何も間違いはない。


自分の心に言い聞かせながらドアを開けると、やはり白い布を被せられた人の姿があった。

平岡が言った通りに布を除けようとしたが、それを摘む右の人差し指と親指に躊躇いがある。

俺が上の女に手をあげる時、気になる事が一つだけあったのだ。


アイツは……

……平岡は軽く笑みを浮かべていた。

自分の望み通りに行かないのに、アイツは笑っていたのだ。


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