罪線〜an imitation〜
「平岡ぁ。コイツ、ヤッちまっていいのか?」


想像した通りのドス黒い声が、俺の耳と頭に響く。


「柴田。我慢しなきゃダメだよ。ケンジ君は僕の大事なペットなんだから」


ペットか……やはり平岡は、俺の事を自分の色に染めてしまいたいらしい。


「はぁ、つまんねぇの」


先程、柴田と呼ばれていた男が溜め息混じりに言うと、平岡は更に続けた。


「まぁまぁ、そう言うなよ今回キミに与えられた仕事は調教だ。殺すのは簡単だし、一瞬だけど、長い間遊べるんだ。それもまた一興だろ?楽しいじゃないか」


平岡は、どうやら俺の事をペットとすら思ってはいないらしい。


俺はこれから間違いなく、二人のおもちゃにされるだろう。


< 70 / 161 >

この作品をシェア

pagetop