罪線〜an imitation〜
「そんなある日、僕は近くにあるゲームセンターに行ったんだ。自慢じゃないけど、当時格闘ゲームじゃ負け無しでね」


あの程度の実力で……よく言ったものだ。


「ところがその日、順調にゲームを進めていると、一人の中学生が乱入してきたんだ。……当時中三だった君だよ。ケンジ君」


「……俺?」


「あぁ、そうだ。こんな中坊に負ける筈がないって思ってたよ。……でもね、赤子を捻るようにしてやられたよ」


それはそうだ。

今の俺に勝てない様では、当時の俺にダメージを与える事すら出来なかっただろう。


「そうか。強かっただろ?あの時は今より上手かった筈だからな」


本当はそんな余裕はないのだが、精神的にギリギリの状態で、搾り出す様に負けず嫌いが出てくる。


すると平岡の中で、何らかのスイッチが入ったのだろう。

突如として顔付きが変わる。


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