罪線〜an imitation〜
身体の痛みと、さっき感じた違和感。その二つに挟まれながら、俺は平岡を睨み付ける。

勿論、内心は恐怖に満ちているのだが、心のどこかで強がりが顔を出す。

すると、それに気付いた平岡が、俺に向かって歩み寄って来た。


……怖い。


「ねぇケンジ君。僕に謝ってくれるかなぁ?僕、ずっと悔しい思いをしてきたんだよね……君に負けたあの日から」


そう言いながら、少し温くなったコーヒーのカップを、俺の頬に押し当てる。


ふざけるな。

俺はお前に対して、何も悪い事はしていない。


「ほら……言ってみなよ」


悪い事は……


「ごめんなさいって言いなよ」


何も……


「……殺すよ?」


「うぅ……ごめ……ん……なさい……」


何もしていない。


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