罪線〜an imitation〜
「ふふっ……そう。そうやって最初から素直になってれば、痛い思いをせずに済んだんだよ」


そう言うと、平岡は満足げな笑みを浮かべ、また俺に白い布を被せた。

それから暫くすると、さっきまで近くに感じていた平岡の存在が遠退いて行く。

どうやら、俺が居るこの部屋から出て行ったらしい。

それが判った瞬間、妙に懐かしい感覚が身体中を走る。


何も悪い事をしていないのに、母親に叱られた時のあの感じ……


父親が休みの日、遊園地に連れて行ってくれると言ったのに、約束を守ってもらえなかった時の、あの感じ……


「……悔しい……」


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