罪線〜an imitation〜
細々と呟きながら下唇を噛むと、目の前が涙で滲む。


「クソッ……!」


動けない様に身体を縛られている中、辛うじて動く足で、地面を蹴る。


ガンッ!


すると、その音が耳に入ったのか、何者かの足音が、こちらに近付いて来る。

……平岡か?……柴田か?

先程まで感じていた悔しさが、片鱗も残さずに吹き飛び、やがて真っ黒な恐怖がまた俺を支配する。

……誰だ?


「おいおい、モノに当たっちゃいけねぇなぁ」


このドスの効いた声、薄汚い言葉遣い……柴田だ。

足癖の悪い俺に、キツ目のお仕置きを……って所だろう。


俺はどこまで堕ちて行くんだ……。


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