両親へのプレゼント
ささやかなプレゼント

  
   翌日、梨奈から私が勤めているホテルへ、彼女の自宅へ連絡を入れたことに対してのお礼の電話が入った。

   「16日にお父様が退院されるそうですね。おめでとうございます」
  と私が言うと、


   「ありがとうございます。今回はいろいろとご心配をかけてしまって、すみませんでした」
  と彼女が謝罪をした。


   「8月16日、もしよろしければ、ご家族で私どものホテルに宿泊されませんか?確かご両親のご結婚20周年でしたよね?」と私が言うと、


   「でも、こちらの都合でキャンセルをしてしまったので....」
  と残念そうに言ったため、


   「まだキャンセルはしていませんよ。実は、梨奈さんのお父様が早く退院されることを期待していましたので、部屋はまだ押さえています。ご安心下さい。また、お父様が入院されている病院からだと車で15分くらいなので、ご自宅へ帰られるよりは、お疲れにならないと思いますよ。もちろん、ご両親にご相談をされてからお返事をいただければ結構ですから」と私が言った。


   「ありがとうございます。すぐに両親に知らせます」
   梨奈は涙声になっていた。


   彼女の両親への思いやりというものに感動した私は、彼女の両親へ二つのささやかなプレゼントを考えていた。

  
  
   最初のプレゼントは、彼女の両親の結婚記念日ということで、部屋に花を手配することに決めた。

  
   ただ、私のポケットマネーなので、そんな豪華なものではなかったが、メッセージを添えることにした。

  (ご結婚、20周年おめでとうございます。これからも、末永くお過ごし下さい)



                                  つづく


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