図書室 。
ガラガラッ。
いつもの風景。
だが、少し違った。
女子達はいつもの様にグループを作って話すわけではなく、『慧』を取り囲んで話をしていた。
(す、座れない…。)
女子達は、慧の席を取り囲んでいるから、必然的に私の椅子や机を使われている。
「紗枝ー、おはよ!!」
「おはよう、菜々子。」
「こっち来なよーッ」
私は、菜々子の近くに行く。
「やっぱり、南雲君、注目の的だよね。」
「うん。」
「もう、告白されたらしいよ。」
「早くない?」
「それくらいイケメンなんだよッ!!」
(そんなもんなんだろうか…。)
そう思ったときまた『慧』と目が合った。
慧は私に小さく手を振った。
私は、気恥ずかしくて、手を振り返さなかった。
「何々、もうそんな感じー?」
菜々子が茶化して来たので、
「違うよッ。」
と言いながら、やっと女子が離れた自分の席に着いた。