恋におちて

「じゃあ、昨日から今朝にかけて寝かせてくれなかったのは、抱き納め的な感じだったわけ?」


これくらいの意地悪許されるだろう。

泣いてたはずの女はさっと顔をあげ、一馬を睨んでいた。

わたしとはもう寝てないとでも思ってたんだろう。

残念ながら家にいる時はほぼ毎晩のように求められていた。

もちろん避妊は欠かさずに。

子どもを授かるのは結婚した後がいいなと言っていた一馬の誠意のある行動だと思っていた。

でも、浮気相手に子供ができたということは……。


婚約してたわたしの方がまるで浮気相手みたいだ。


「は、春陽は一人でも大丈夫だろう。今だって取り乱しもしない。婚約者が婚約解消しようって言ってるのによくそんな冷静でいれるな。お前本当に俺と結婚する気あったのかよ」


一馬の悪いクセが出た。


この男は自分の分が悪くなると人を貶し始めるのだ。



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