姐御な私と無口なアイツ。
後日談
50000PV突破SS
"涼介……"
すぐ近くで、誰かに名前を呼ばれた気がした。
「…………」
不意に、意識が覚醒して、俺──川崎涼介は、ぼんやりと辺りを見た。
片付いてないわけでも、整理整頓されているわけでもない普通の部屋。黄緑色のカーテンのかかった窓からは、夕日が鮮やかに差し込んできている。
俺の部屋……だ。どうやらベッドに寄りかかって寝ていたらしい……のだが、一体その前に何をしていたのか全く思い出せない。
何だかふわふわした感覚のまま、まだ起き上がるのも億劫でそのままぼうっとしていると、不意に、左肩に温もりを感じる。
「りょ……け……」
同時に、何か耳許で囁くような声がして、俺はそちらへと目をやった。
そして。
………………何で、麻奈がここにいる?