姐御な私と無口なアイツ。
……どうせ夢だ。少しくらい羽目を外しても構わないだろうか。
うん、大丈夫大丈夫、と自分に言い聞かせながら、視線は麻奈の、寝息を溢す半開きの唇に向かう。
既に理性やら判断力やらはどこかへ消え去っていた。
半ば引き寄せられるように、無意識に顔を近付け──彼女の無防備な唇に、自分のそれを重ねる。
柔らかい、とやけにリアルな感想を抱いたと同時……。
ぱち
そんな音をたてて、いきなり至近距離で、麻奈の大きな瞳が開かれた。
「……?」
顔を引いた俺と、彼女のぽかんとした俺の視線が、至近距離で絡み合う。
「……え?」