姐御な私と無口なアイツ。
戸惑う俺をよそに、背を向けた麻奈はなぜか体育座りで、もぞもぞと何か口ごもる。
「……いっ」
「……?」
珍しく歯切れの悪い彼女に俺は首を傾げた。いつもの威勢の良さはどこへ。
もう少し待つと、麻奈は少しだけ落ち着いたように、しかし消え入りそうな声でもう一度言い直す。
「……嫌ではなかった、けど」
「……!」
俺は、最初聞き間違えたかと思うほどに驚いた。
……ものすごく嫌がられたのかと思っていたのに。
確かめるようにもう一度彼女を見ると、髪の間から、真っ赤に染まった耳が見えた。
……もしかして、照れて、いる?
耳まで赤くなった顔を隠すために俺から背を向けるほどに?