301号室、302号室、303号室




レミを一目見たときからずっと、僕は彼女に片想いしてる。


ファンという枠を越えて、一人の男として、僕は彼女を見続けてきた。


清純なアイドルの姿で笑顔を振り撒く、その裏にある悲しい顔にも、気付いている。

彼女は決して華があるわけじゃない。
歌もダンスもルックスも中途半端だと思う。
テレビに出ている売れっ子アイドルと比較すると、その差は歴然だ。

でも僕は、そんな彼女だから良かった。

その、完璧じゃない不器用さが、愛しかった。

情けなくて可愛そうな彼女の姿が、時折、自分自身とリンクして、強く抱き締めてあげたくなった。


これは、恋なんだと思う。



< 13 / 61 >

この作品をシェア

pagetop