301号室、302号室、303号室




「名前、聞いてもいい?」


「少しは同情する気になってくれた?」


「同情じゃないよ、思い出したんだ。僕は昨日、レミじゃなくて、君のことを抱いたんだって。だから、名前くらい、聞いておかないと。」



愛着なんてものは、最初からあった。

僕はこの女を傷付けた人間と何ら変わらない自己中心的な人間だけど、分かったんだ。

過去の自分と決別するためにも、この人のことは僕が責任を持って、幸せにしなければならない。
そう、思ったんだ。

今まで自分がしてきたことは全部、ただの自己満足だった。



「久藤・・朝美」



朝美、さん。
頭の中で呟いた。

やっぱり、名前を呼び合えるほうがずっと、いい。
安心、する。



「朝美、さん」


「いいよ、朝美で」


「・・・・あさ、み?」


「なんか、恥ずかしいね・・・」



照れたように笑う顔は、まだまだ幼く見える。
色っぽい顔より、僕はこっちのほうが好きだ。



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