301号室、302号室、303号室
陸人と会う回数が減り、余計にその手紙を見返す回数が増えた。
でも、これはなんとなく、その送り主が言う「幸せ」な状態ではないんだと思う。
胸を張って、幸せだ、って言うのはなかなか難しいことだけど、それにしたってこれは、幸せじゃない。
私はたまに、この手紙を書いた人の優しさに、甘えてしまう。
こんな人が近くにいたらきっと、なんでも話してしまうのに・・・。
この狭くて窮屈な街のどこかに「彼」はいるはずなのに、「彼」は私の側にいないし、私を幸せにはしてくれない。
ただ、どんとん歳を重ねて色褪せていく便箋の中でだけ、顔も知らない「彼」はいつまでもずっと、私に微笑んでくれている。
「幸せ、じゃない・・・」
ねえ、あなたは今、どこで何をしてる?
私を、この狭い部屋に一人にして、このクリスマスイブに、知らない誰かと笑ってるの?
私は、ずっと幸せになれないまま、一人ぼっち。
なんで貴方は、私の側にいないの?
私を、幸せにしてくれないの?