301号室、302号室、303号室
あんなの、って、亮太のことだよね・・・?
三木くんって、亮太と仲良いんじゃないの?
確かにあいつ、適当なやつだし、彼女ほったらかすし、最低だけど・・・だけどなんで、三木くんがそんなこと・・・?
頭の中がたくさんの疑問符で埋め尽くされる。
「それって、どういう」
「やっぱり、なんでもないです」
あ・・・。
目、反らされた。
意味が、分からない。
それに、予想してたような嫌みを言われなかったことに、少し戸惑ってしまう。
頬杖をついてそっぽを向く横顔からは、相変わらず、何も伝わらない。
「朝から何も食べてないですよね?何か、作りますか。」
そのまま、三木くんはソファーから立ち上がった。
なんか、うまく逃げられた感じだ。
話反らされたら、さっきのことも、聞くに聞けない。
仕方ない・・・・
「私も手伝うよ」
そう言って、彼の隣に並ぶと、大丈夫なんで、と、また距離を置かれた。
でも、私が大丈夫じゃない。
黙って見ているのも退屈だし、何より気まずいままというのは嫌だから。
「私、意外と料理できるんだよ」
そう言って、そそくさと準備を始める。
冷蔵庫を覗いて、この材料で何ができるか考えていると、後ろで黙って見ていた三木くんがふいに、「そういうの、本当、困る・・・」と呟いた。
独り言のようだけど、その、さっきより余裕がなさそうな口調に、思わずドキッとしてしまう。
一体彼は今、どんな顔をしてるんだろう。
困る、って思われてるのに、不思議と全然、嫌じゃない。