301号室、302号室、303号室
三木くんに見られてると思うと恥ずかしくて、少し控えめに舌を出す。
すると、彼の視線が私の舌先に集中するのが分かった。
顔が、熱い・・・
正直、もうやけどしたことなんて、どうでもいい。
今は、舌に痺れるような痛みを感じている余裕もない。
「赤くなってる」
そう呟いた彼は、顎から手を離し、ソファーを立って、キッチンへと向かった。
・・・・はぁ、やっと終わった
近すぎてうまく呼吸が出来なかった。
息が、苦しい。
三木くんにバレないように、肩で息をして、呼吸を落ち着かせる。
死ぬかとおもった・・・
キッチンから戻ってきた三木くんは、氷の入った小皿を私に手渡した。
「これ、舐めて、冷やしてください」
「あ、ありがとう・・・」
なんだ、また敬語に戻っちゃった・・・。
氷を口に含む。
熱くなった顔も、少しずつ冷めていくようだ。
「三木くん」
「なんですか?」
「こういうこと、三木くんは何も考えずにできちゃうのかもしれないけど、勘違いしちゃう子もいるんじゃないかな」
それが、私の率直な気持ちだった。
現に、恵美ちゃんがそうだと思うから。
その気がないなら、思わせ振りな態度とか、とらないほうがいいと思う。
三木くんは、ただでさえ格好いいんだから。