301号室、302号室、303号室
彼の影が、私の顔にかかる。
また急に、距離を詰められた。
膝の上に抱えたお皿のフチを、ぎゅっと両手で握る。
「俺が今まで、どれだけ必死になって距離置こうと頑張ってきたか、分かりますか?」
「えっ、と・・・」
お皿を握る手に、更に力が加わる。
また、初めて見る顔をした。
それに、普段無口な筈の彼がこんなに喋ってる。
どうしよう・・・・
私、怒らせた・・・?
「それが・・・中村さんがそんな顔するだけで、全部、無意味になる・・・ん、ですよ」
「三木、くん?」
「普段、使い慣れない敬語なんか、使って・・・そしたら、うまく距離置いたまま、関わっていけると思ったん、ですけどね?」
彼の口調が、たどたどしくなっていく。
「でも、無理でした・・・昨日からずっと、中村さんの顔見るたびに、堪えるのに必死でした・・・・」
私、もしかして、今・・・・
「ねえ、中村さん・・・もう、いい加減、あいつと別れてくれませんか?」
告白、されてる・・・・?