少年Kと少女Sの奮闘記
プロローグ
「草野君のことがずっと好きでした!」
「誰だお前。」
人気の無くなる放課後の校舎裏。
今日もまた一人の女子生徒が涙を落としていた。
「告白したものの名前すら知られておらず惨敗して逃げるに一票。志摩はどう思う?」
そんな校舎裏を一望出来る第二多目的室の窓際から顔を出す女子生徒が二人。
頬杖をつき口元を緩ませ、届くことのない会話を楽しそうに推定する飯島皐月。
そしてもう一人は、二人の動向を眉を下げて見下ろす新原志摩。
「お、オッケーしちゃったらどうしよう…。」
不安が滲み出る口調で窓から顔半分を覗かせる志摩に、皐月は喉から静かに笑い声を出した。
その直後、告白をした女子生徒は勢いよく走り去り、
楓もまた走りゆく女子生徒を追う素振り一つ見せることなく反対方面へと歩き出した。
「は~い終了。愛しの楓君は今月2度目の告白をあっさりと断った模様でございまぁす。」
皐月は背伸びをしながら窓際から離れていった。
そんな皐月を他所に志摩はいまだに去りゆく楓を見下ろしていた。
「ああ、やっぱりいいなぁ草野君。」
「私にゃさっぱりわからんねぇ。あんな性悪丸出しのどこが良いんだか。」
「草野君の悪口言うの禁止。」
「悪口?ちっちっち、色目ゼロで大親友が見てあげた上での客観的感想ってやつよ。」
「むう…皐月は知らないだけだよ。」
志摩は窓から離れ皐月を見て告げた。
不貞腐れた志摩に皐月はもう数年使われていないであろう古びた教卓に尻を乗せ足を組んだ。
「ほほう、聞かせてもらおうじゃないの。志摩にとっての草野を。」
「誰だお前。」
人気の無くなる放課後の校舎裏。
今日もまた一人の女子生徒が涙を落としていた。
「告白したものの名前すら知られておらず惨敗して逃げるに一票。志摩はどう思う?」
そんな校舎裏を一望出来る第二多目的室の窓際から顔を出す女子生徒が二人。
頬杖をつき口元を緩ませ、届くことのない会話を楽しそうに推定する飯島皐月。
そしてもう一人は、二人の動向を眉を下げて見下ろす新原志摩。
「お、オッケーしちゃったらどうしよう…。」
不安が滲み出る口調で窓から顔半分を覗かせる志摩に、皐月は喉から静かに笑い声を出した。
その直後、告白をした女子生徒は勢いよく走り去り、
楓もまた走りゆく女子生徒を追う素振り一つ見せることなく反対方面へと歩き出した。
「は~い終了。愛しの楓君は今月2度目の告白をあっさりと断った模様でございまぁす。」
皐月は背伸びをしながら窓際から離れていった。
そんな皐月を他所に志摩はいまだに去りゆく楓を見下ろしていた。
「ああ、やっぱりいいなぁ草野君。」
「私にゃさっぱりわからんねぇ。あんな性悪丸出しのどこが良いんだか。」
「草野君の悪口言うの禁止。」
「悪口?ちっちっち、色目ゼロで大親友が見てあげた上での客観的感想ってやつよ。」
「むう…皐月は知らないだけだよ。」
志摩は窓から離れ皐月を見て告げた。
不貞腐れた志摩に皐月はもう数年使われていないであろう古びた教卓に尻を乗せ足を組んだ。
「ほほう、聞かせてもらおうじゃないの。志摩にとっての草野を。」